1世紀以上にわたり、世界の水の使用量は人口を上回る速度で伸びていて、その傾向は今も続いています。過去100年に人口は4倍になり、 水使用量は7倍になりました。世界は豊かになるにつれ、より多くの水を必要とするようになってきています。
人間が最低限必要とする基本的な水の量は、1日50リットル。ただし、人は生きるためには別途カロリー(熱量)を摂取しなければなりません。人間が生きていくために必要な1日の最低栄養価は3,000カロリーと言われています。そして3,000カロリーを十分に供給するだけの食糧を生産するために必要とされる水の量は、3,500リットルとされています。つまり、人が一人増えるたびに、必要とされる水の量は1日3,550リットルずつ増えていく計算になります。
セラゲルディン元世銀副総裁はかつて、「20世紀は領土紛争の時代だったが、21世紀は水紛争の時代になる」と予言しました。私たちの国でも、自分たちに必要な水が、すべて国内でまかないきれているわけではありません。およそ1億3千万人の胃袋を満たすだけの食糧は生産できない狭い国土に住む私たちは、別の土地から食糧を大量に輸入して命を保っています。そして、その他国からの輸入食糧には、その生育に大量の水が使われているのです(仮想投入水=バーチャルウォーター)。
東京大学生産技術研究所の沖大幹助教授等のグループが試算した結果によると、日本は他国からの食糧輸入によって、約640億トンものバーチャルウォーターを輸入していることになります。日本国内での総水資源使用量約900億トン/年の3分の2程度の水を、日本は海外に頼っていることになります。