この地球には、およそ14億キロ立方メートルあるといわれています。ただし、そのほとんど、97.5%は海水で、淡水はわずかに2.5%。しかも、その7割近くが南極や北極などの氷河として存在しています。残りの3割、地球の水全体のわずか1.7%が、「液体の淡水」といえます。さらにその99%が地下水として存在するといわれており、実は地下から汲み上げたり、蒸留するなど人為的な手間をかけずに“使える水”というのは、地球の水全体の10,000分の1、1万キロ立方メートルにすぎません。
また、地球上の年降水総量は約577千キロ立方メートル/年、陸上の年降水総量は約119千キロ立方メートル/年であり、そのうち約74千キロ立方メートル/年が蒸発散により失われ、残りの約45千キロ立方メートル/年のうち約43千キロ立方メートル/年が表流水として、約2千キロ立方メートル/年が地下水として流出します。水は、土地とともに国土を構成する重要な要素であるとともに、生命にとって必要不可欠なものですが、わたしたち人間活動は自然の水循環に対して少なからず影響を及ぼしているのも事実です。今後、私たち人類及び生態系が水の恵みを持続的に享受できるように、水資源を適切に利用していくことが重要です。
私たちの国では、過去30年平均でおよそ6,500億立方メートル/年の降水量があります。そのうちおよそ2,300億立方メートル/年が蒸発散によって人間に利用されることなく大気に還り、水資源として理論上人間が最大限利用可能な水量は、年間平均4,200億立方メートルと推計されています。
狭い国土の中に急峻な山地を抱え、海までの流路が短くならざるを得ないわが国では、その水量のほとんどが使われることなく地下に浸透したり、海に流出したりしています。実際、わが国の年間の水使用量は合計で約835億立方メートルと、最大利用可能な4,200億立方メートルの2割以下となっています。
その中でも、いわゆる生活用水として利用できているのは、162億立方メートル/年なのですが、この生活用水には、一般家庭の飲料水、調理、風呂、掃除、水洗トイレ、散水などに用いる「家庭用水」と、飲食店、デパート、ホテルなどの営業用水、事業所用水、公園の噴水や公衆トイレなどに用いる「都市活動用水」とに分類されます。
生活用水の半分以上、4分の3くらいは都市活動用水だとすると、家庭用水はおよそ40億立方メートル/年。家庭用水のうち、飲食、調理用として私たちの喉を潤してくれるのは、わずか23%(東京都水道局調べ)。それ以外はトイレや風呂、洗濯などといった用途に使われています。 つまり、私たちの喉を潤している水は、9億立方メートル/年あると推計されますが、年間の降水量6,500億立方メートル/年から考えると、実にわずか0.14%の割合です。コップ1杯(300cc)の水を得るのに215リットルの降水量が必要な計算になります。
地球は水の惑星といわれ、水が潤沢にあるように思われがちですが、灌漑技術や水質浄化技術などの人為的な貢献がなければ、意外と命の水にはアクセスしづらいのが、本当なのかもしれません。雨が降って山に浸み、湧水が集まって川となり、海に出て蒸発して、また雨が降る、数千年ともいわれるこのサイクルの一部が、人間の智慧と技術によって命の水となって私たちの目の前にあるのは、まさに奇跡的なことといえます。